紅花プロジェクト2010(活動3年目)

 

10年1月、紅花技術伝承者を講師に栽培講習会を開催。
紅花栽培の難しさを改めて知るとともに、
最上紅花の魅力を痛感する貴重なひとときとなる。
この研修会には、上山明新館高校【ベニバナ研究班】をはじめ
市内外から約30人が参加する。

 

昨年秋に収穫し、小屋の軒下にぶら下げていた紅花を
10年2月、学校に持ち寄り上山明新館高校【ベニバナ研究班】と
紅花栽培に関心を抱く市民と一緒に紅花の種取り作業。
ムシロにくるんだ紅花を足で何度も踏みつぶし、
柔らかくしてから手作業で種をほぐしていく。
手にトゲを刺しながらがんばった2時間の作業で
今年使用する最上紅花の種(約3キロ)を確保。
3年目のプロジェクトが動き出した。

 

10年1月に開催した紅花研修会の際、講師の先生が
「紅花3年目の圃場は、連作障害の可能性が高い」と指摘。
上山まちづくり塾で紅花を栽培している畑は
今年でちょうど、連作障害の可能性が高い3年目。
そこで、危険性を回避するため、今年のプロジェクトは、
昨年までとは異なる新たな場所で着手することに。

 

10年4月の土曜日の朝、上山明新館高校【ベニバナ研究班】と
上山まちづくり塾生が、今年紅花を栽培する新しい畑で
土作りを楽しむ。

 

土作りをした翌週の土曜日、最上紅花を播種。
「たねまき権兵衛」を駆使して50mにも及ぶ畝に丁寧に種を播く。
慣れた手つきでたねまき権兵衛を操る高校生たちは頼もしい。
地元企業から無償提供されたエコ堆肥を道路沿いの圃場に搬入。
今年は道く人からも山形の県花を楽しんでもらうため
ヴェンテンガルテンの道路沿いでも最上紅花を栽培する。

 

10年5月、播種した圃場で発芽を確認し
「ホッ…」と胸をなでおろす。
 
 

 

10年6月、雑草が目立ってきた。
上山明新館高校【ベニバナ研究班】と上山まちづくり塾では
紅花畑で中耕除草に着手。
畝と畝の間に耕運機が入れるように、播種の際に畝幅を十分に
とったつもりだったが、実際、耕運機を入れようとしたところ
「…(入れない)…」場所が数箇所。
来年は、もう少し畝幅を広げてみることにする。

 

 

圃場北側の紅花生育が順調であるのに対し、

圃場中央の紅花生育が芳しくない。

そろそろ倒伏防止用の支柱とロープを準備しないと…。

 

去年の紅花たちをしっかり支え、栽培後に回収して

大切に保管していた支柱の杭を畑に運搬する。

高さが1mを超え、たくさんの花をつける紅花たちの

倒伏を防ぐため、麻紐で両側から挟み込む作業に備える。

 

猛暑のなか、高校生たちが畑で草刈に励む。
したたり落ちる珠のような汗をぬぐうことなく、
肩掛け草刈機のエンジン音を響かせながら
草刈に励む高校生たちはいつ見ても頼もしい。
学校では学べない大切なことを、このプロジェクトで
体験してもらえたら…。
次代を担う若い世代を地域としてサポートする。

 

7月1日、畑の中に咲く一輪の紅花。
古くから言われる「半夏ひとつ咲き」。
紅花プロジェクト3年目となる今年も、
広い畑の中に一輪だけ咲く可憐な紅花を確認。
この開花を合図に緑色の畑が鮮やかな黄&紅色に
徐々に染まっていく。
紅花が持つ無限の可能性はオドロキの一言。

 

7月最初の金曜の午後、開花した紅花が集中豪雨で倒伏。
急いで修復して起こそうとするものの、連日の雨で
地盤がゆるみ軟らかすぎて支柱が機能してない。
7月11日に開催する【第1回紅花収穫祭】に向け
「困った…」。 
 
この倒伏した紅花を1列1列、元に戻していったのは
上山明新館高校の生徒さんたち。
雨の降りしきる中、ぬかる大地に足を取られながらも
一生懸命、作業に励む若い力に心が動いた。 

 

 

蔵王山頂から朝陽がまちを照らす午前5時、
上山まちづくり塾の塾生たちが畑に集う。
紅花を一つ一つ手で摘みとりながら、
最上紅花の産地として名を馳せていた
まちの当時に思いを馳せる。

 

 

山形県の県花である紅花を大勢の方から楽しんでもらえたら…。
そんな想いで開催した【第1回紅花収穫祭】。
遠くに蔵王の山々を臨むこの場所は、蕎麦の白い花と
紅花の黄色のコントラストが美しい。
この日は、早朝からテント、テーブル、椅子をセッティング。
7月からメンバーに加わった上山まちづくり塾スタッフと
上山明新館高校の生徒さんたちは、遠くからの来訪者を
温かく出迎えるため、【第1回紅花収穫祭】の看板づくり。
紅花アイスクリームは「意外とさっぱりしている!!」
紅花アイスクリームは「意外とさっぱりしている!!」

一方の上山まちづくり塾生たちは【紅花ミニブーケ】を力作。

ほかにも炊きたてごはんで握った【紅花満まるおにぎり】、

旬のきゅうりを活かした【紅花きゅうり漬け】、

ホカホカの【わらび汁】が会場に運び込まれた。

時折、雨がパラパラして、内心ハラハラだった日曜日。
高校生たちが商品化した3種類の紅花アイスクリームと
手作り米粉マドレーヌが完売する。

 

 

朝仕事で収穫した紅花を活かして【紅餅づくり】がスタート。 

城下のまちなかにある上山まちづくり塾事務所前で行われる作業に
住民のや観光客が足を止めては、しばし見入る。
今では目にすることがほとんどない紅餅づくりの工程を
敢えてまちなかで実演することは、非常に意義ある試み。
上山まちづくり塾的スタンスで、まちの魅力に磨きをかける。
 
  
3年前から紅花プロジェクトで事業連携している
上山明新館高校【ベニバナ研究班】も学校で紅餅づくりがスタート。
花寝せを終えた紅花を、杵&臼、すり鉢&すりこぎ棒で
ひたすらたたいては、水分をギュッと絞る。
この作業を繰り返していると、黄色い色素が抜け落ち、
紅色が色濃さを増していく。 

 

たたいては絞り、たたいては絞る。

この作業を交替で続けること約1時間。

黄色い色素が失われた紅花を薄く伸ばし、
1つ1つ丁寧に紅餅に仕上げていく。
高校生による紅餅作りを、偶然来校していた
大学農学部の学生さんたちが見学する。